妄想なんぞで
現実逃避を図つてゐるのでせう
臓腑を抉られるような
苦悶と悦楽に
朦朧とする意識
軀を焦がす灼熱の存在を
指で撫ぜた
瞬く度に落ちる雫
赫い舌先で
そろり絡め取っては
こくんと小さく喉を鳴らす
艶を帯びた低音で
優美な鎖骨の上を
噛めと命じた
戸惑いがちに
素肌を喰む振りで
下手な誤魔化し
刹那
加速度的な衝動に
容赦無く掻き乱されて
潰える間際
やさしさだったと気付いた
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